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zoom RSS 井戸茶碗が焼かれたという井戸郷セミゴル[白蓮里]

<<   作成日時 : 2017/02/01 20:33   >>

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毎年のように行っていた韓国古窯址散策は、「魯卿あん」の開店、そして韓国での「MERSコロナウイルス」流行があり、6年ぶりとなった。
今回は成田から釜山に入って河東、晋州、熊川、蔚山などの古窯址を巡る3泊4日の旅である。

平地でもマイナス10度ほどの寒い時、「しばらくは雪が降らない」ということで韓国行きをきめた。
ところが、春節の影響で釜山までの搭乗機はほぼ韓国の人で満席。釜山につくと人も多くて慌ただしい。
30分ほど探して、迎えに来られた田中佐次郎先生と丁さんをようやく合流できた。

丁さんの車に乗り込み晋州方面へ。
20数年前、「井戸郷・セミゴル」が井戸茶碗の里ということで、十数人の親しい陶芸家とともに張今貞(チャン・ケウムジュン)さん宅へ伺ったが、佐次郎先生が初めてということで、この度の再訪問となった。
ソウルでホテル暮しをされている張さんが、丁さんの呼びかけでタクシーで駆けつけてくれた。

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張今貞邸内にある「河東無名陶工追念碑」


現在は慶尚南道河東(ハドン)郡辰橋面(チンキョミョン)の白蓮里(ペクリョンリ)窯という。
慶尚南道泗川(サチョン)でお生れの張さんは李朝の井戸茶碗を目指して再興するための陶房、住居、ギャラリーがあったところだ。

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張今貞さんと


ここ白蓮里セミゴルで出土される器の種類は粉青、白磁、象嵌白磁などの平鉢、皿、丼、甕、大徳利、水筒、杯など生活用雑器を焼いた所と思われる。

20数年前に伺った時には、傾斜のある庭に井戸風の陶片が散りばめられ、そこをロープが張ってあった。
その時の様子をメモ用紙に描いてお見せしたら、笑いながら何度も頷かれ、懐かしそうに見ておられた。
「この辺は古窯址だらけ、まだ敷地内に沢山の古窯址が眠っています。大雨が降り、山崩れなどで多くの陶片を発見しました」
23000坪という広大な土地を所有されている張さん。
「ここで発掘された井戸茶碗の陶片」といわれて見せていただいたが、どの陶片をみても井戸だと思えるものはなかった。高台脇などに梅華皮はでているが粗い土で高台は締まりない。
この地が「井戸茶碗の里」だとは到底思えなかったのである。

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鍬で陶片を掘ってみせてくれた。    白蓮里古窯跡出土の陶片


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高麗青磁の技術移入を感じる陶片


これまでに4つの古窯址を発掘されたようだが、1つは統一新羅時代の焼締のもので、その他は16世紀末、高麗青磁からの技術が伝承された青磁風のものから李朝代のものと推定されている。

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20数年前には立派だった民家は廃屋となっていた


この縁側で梅華皮のでた陶片を見ながら お茶をいただいた思い出が懐かしく蘇ってきた。
「子供は二人います。36歳の時に夫を亡くし、子供を実家に預けて井戸茶碗の再現を求めて1980年日本に渡り、萩焼の野坂康起先生の所で約4年間、修業しました。その後、1990年より1年間ドイツ・カッセル大学で磁器を勉強して帰国後、ここ(白蓮里)で登窯を築きました。古窯址に窯を築くなど今では許されないけど、あの当時は知らずに築いてしまった。仕方なかったのです。」

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2014年まで使っていた登窯


私たちが訪ねた前後から「井戸茶碗の里」ということで多くの日本人が来窯し、新しく登窯を築かれ、立派な展示場も建てた。ドラマ「チャングムの誓い」(『大長今』2003年)や「茶母」(2003年)に使われた陶器は全て張今貞が焼かれた。朝鮮初の女性陶工を描く「火の女神ジョンイ」(2013年)では、作品以外にも、スタジオセットの登窯や陶工の制作シーンなどに至るまで技術監修されたというが、まさに栄華を極めたのだ。
しかし、2014年からもうその窯も使われていない。民家も朽ちかけ、仕事場も水簸場も荒れ果てていた。
「新しく築窯した登窯も2016年夏までしか使っていません。今は作陶もせず、ここには住んでいません」

以前に伺った時には何もなかった立派な建物があって吃驚した。
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発掘された陶片や張さんの作品が陳列してある

その建物は博物館だといい、二階にはここで発掘された陶片と張さんの作品(白磁と井戸風の作品)が並べられていた。張さんの作る井戸茶碗は砂を含んだ粗目の粘土に暗い灰青色を帯びた釉薬がボッテリと掛かっていた。
高台脇と高台内は梅華皮を出すため二重掛けされているからだろう。

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張さんの井戸茶碗高台


河東付近には多くの陶芸家がいる。彼らは口を揃えて、「井戸の粘土は、砂(セカリ)と土(モリ)、そしてカオリンのブレンド」だという。これでは本物の井戸茶碗には遠そう思えた。当時は単味だと思うからだ。

1940年生まれの張さんはご高齢となり、陶芸家を2016年に引退され、このセミゴル白蓮里窯も閉鎖された。
「私の土地を700坪売りたい。発掘をし始めると建物が建てられないので、建物付きで売りたい。価格は3億ウオン(日本円で約3000万)。そして日本の方と『井戸茶碗研究会』を作りたいのでご紹介ください」といわれたのである。


晋州城画像
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魯山人「大雅堂」・「美食倶楽部」発祥の地
 魯卿あん‥‥Rokeian
〒104-0031 東京都中央区京橋2-9-9    TEL: 03-6228-7704 FAX: 03-6228-7704
営業時間:11:00〜18:00
 Email:rokeian-kuroda@jupiter.ocn.ne.jp
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辻岡正美様 撮影



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