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zoom RSS 藤原雄 ‥‥器の中に“間”とか“遊び”

<<   作成日時 : 2017/03/17 17:00   >>

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備前の伊部駅から瀬戸内海に沿って日生に向かうと片上湾が見えてくる。
海側にある耐火煉瓦や炉材の工場に遮られてしまうが、
その反対方向の急坂を上り詰めると藤原啓記念館と雄工房がある。
天気のよい日は豪壮な藤原邸の応接間から瀬戸内海に浮かぶ小島と穏やかな入り江が望め美しい。

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藤原雄 備前窯変擂座花入


藤原雄は魯山人ばりの美食家であった。
明治大学の日本文学科に通われていた頃、岡山の陶芸通に紹介されて鎌倉の魯山人のところを訪ねた。
その初対面の日に、「また一人で飯でも食べに来いよ」といわれ、毎週土曜日に出かけ、月曜日に下宿に帰ってくる学生生活を三年間続けた。
「魯山人先生には日本的感性とか、美意識とか、風情、人生を粋に生きるというか、モノを上手に活かしていくことなど陶芸の哲学を学んだ。なにしろ先生の影響を受けたものだから知らず知らずに食いしん坊になった」
と料理の名店や寿司屋、そして魚市場などへもご一緒されたほど魯山人に可愛がられた。

「料理を手伝いながら、器と料理の調和を言葉ではなく厳しい修業として味合わせていただいた。私の生涯に二度とない素晴らしさをもたらしてくれた魯山人先生に感謝しながら日夜、器造りに精進している」


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藤原 雄


明治大学卒業後、文学が好きで一時、出版社に勤めていたが、昭和三十年、父・啓が胃潰瘍で倒れ、父の体を案じて帰郷し助手となる。その後、アメリカなどに行って改めて故郷の焼物・備前の土の良さを認識し本格的に陶芸の道に入っている。
「父の助手の仕事を終えて、夜、自分の時間に制作したが、はじめの5年間は焼く前に全て父に壊され、ようやく焼くことを許された作品の中に口がすぼまった壺を見て、『今までの備前にない、おもしろいのを造っている』とはじめて褒められた」

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藤原雄 備前壺


左目は0.0、右目も0.04の近視と斜視、眼球振動という三つのハンディを背負っていた。
「失明するかもしれない」と、その持病を克服するために目を閉じていても轆轤をひけるように若い時から努力したため作品の造形は単純明解なものとなった。
それが独自の膨らみを持つ壷となり、いつしか「壺の雄」といわれるようになり、現在、多くの備前の陶芸家がこの雄スタイルの壺を制作するようになったのであろう。

平成八年に藤原雄は重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され、父・藤原啓とともに親子で人間国宝に認定されたはじめてのケースとなった。

「土器や須恵器は今日でも決して古い造型ではない。たとえ一万年たった今も感じられる普遍的な美しさを持っている形が大事だ。奇をてらったり必要以上に評論家やジャーナリズムの目を気にするのではなく、力一杯自分の好きな形を追及することが作家の使命と思う」

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藤原雄 備前大皿


魯山人の教えを守り、器の中に“間”とか“遊び”を持ち込んで料理も活かし、ものを上手に活かしていく力を持った。
藤原雄宅へ伺うと、いつも自作の大鉢に岡山のマスカットや白桃などの果物が盛られて出した。
雄工房に伺うと雄作の豪放な器に紀美子夫人が、その器と語らいながら大胆に盛りつけ、壷に花を添える。
紀美子夫人の作られた料理も雄の作品に盛り付けられた。
まさに夫人の二人三脚の合作である。それは藤原備前の魅力を、まさに単純明快に余すところなく伝えてくれた。

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藤原雄 備前水指


昭和55年、岡山県重要無形文化財に認定され、平成2年に芸術選奨文部大臣賞を受けてのち、平成5年には「備前藤原三代展」を全国五カ所で開催され大評判で話題をまいた。
さらに、作陶生活40周年の平成7年9月、全国日本学士会より理化学、医学、教育などで優れた功労者に贈られる「アカデミア大賞」を陶芸家で初めて受賞した。これは横山大観も受賞した名誉ある賞だった。


「壷の中に安らぎやおおらかさ、暖かさを表現することが素敵だ」
「土器や須恵器は今日でも決して古い造型ではない。たとえ一万年たった今も感じられる普遍的な美しさを持っている形が大事だ。力一杯自分の好きな形を追及することが作家の使命と思う」


『壺の雄』として、備前焼の名を国際的に広めた。
分厚い登窯を築き、ふくよかな母性を偲ばせていた壺を運道の火前の一番上の棚で焼いた黄・緑・黒のグラデーションをもった胡麻や秘密室で焼かれたメロン肌といわれるカセ胡麻が似合った。
平成8年には重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され、作陶45年を迎えた平成10年には紫綬褒章を受賞した。
― 壷・皿・人物の写真は別冊炎芸術「備前」(2017/2/20発行)より ―
 
藤原雄と蓮・細野燕臺と黒牡丹‥‥花を愛でる魯山人



魯山人「大雅堂」・「美食倶楽部」発祥の地
 魯卿あん‥‥Rokeian
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営業時間:11:00〜18:00
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辻岡正美様の撮影



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