秋を謳い上げる魯山人

鎌倉山崎の切通『臥龍峡』を抜けると山間に分厚い茅葺屋根の魯山人邸が姿を現します
朝晩、涼しくなる今ごろに伺うと、草むらでは虫達の合唱が始まっています

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鳴き止まぬエンマコオロギはもちろん、「スーイッチョン」と鳴くウマオイ(私たちはそのままスーイッチョンと呼んでいた)、「ガチャガチャ」のクツワムシ、「チンチロリン」のマツムシ、スズムシ、キリギリスなど賑やかでした
夏のセミと同じくオスがメスを呼ぶ求愛のサインだそうです
一匹が鳴き出すと呼応するかのように歌合戦です

自然を愛する魯山人はその虫たちのためでしょうか、田圃を一畝(いっせ)ほどツブして、そこにススキや萱、葦、葭などイネ科の植物を植えました
季節によって姿を変えるイネ科の植物たち。風になびき光を受けキラキラと輝く秋になれば「尾花(おばな)」も出て、虫たちがカクレンボしながら気持ちよさそうに鳴いていました
魯山人は午前中、来客がない時はそれらを写生する姿をよく見ました
「毎日見ていても飽きない、見るたびに新しい発見があるのだ」といわれた魯山人
魯山人語録に
「注意力を鋭く、厳しくして、自然の真を観て行け」というのがありますが、
まさにこのことだったのかとのちに思いました

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本日の作品も、そうしたスケッチから生き生きとした強い葉の描き方、釉薬の溜まりも、朝靄のように観ることができるのも、魯山人芸術のなせる業だと思うのです

この作品「於里辺草虫四方鉢」(共箱)は昭和31年(1956)に制作されました
この年の9月に開催される「魯山人50回個展記念展観」という記念の展示会のために、気合を入れて制作したものです

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高台は得意の俎板台鉢風 厚手に作られた四方皿に力強い足がつけられ、
魯山人得意の織部釉が大地を思わせ、さらに格の高い四方の盛鉢となっております




魯卿あん (Rokeian)
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辻岡正美氏