北大路魯山人「良寛詩」‥‥赤呉須の筆筒に力強く銀泥が躍っている

北大路魯山人も良寛さまが大好き、一字一句もゆるがせにせずに揮毫した筆筒
美しく気高い内容、デリケートな線、その時々で自分の心にあった素直な良寛の芸術性‥‥
魯山人これに倣い渋めの赤呉須の地に銀泥で一字一字気合いを入れて書いている
文字の厚みが魯山人作品の特徴で、光の具合で見え方がまるで違う
これを狙っていたのだろうか
筆墨硯紙という文房四宝を大切にした魯山人
当然、筆筒にも目を配っていた
良寛の揮毫に倣った魯山人の筆筒を数点取り上げてみたい

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間庭百花發 かんてい ひゃっか ひらき
餘香入此堂 よこう このどうに はいる
相対共無語 あいたいして ともにかたるなく
春夜々将央 しゅんやよるまさに なかばらんとす


静かな庭には たくさんの花が咲きそろい、
あふれる香りが この座敷の中まで漂ってくる
あなたと向かい合っているが、ともに語ることもなく過ごしていると、
春の夜はそのまま更けていき、いつしか真夜中になろうとしている


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越後の春は梅桃桜の花が同時に開くという  雪国だからだろう
良寛と阿部定珍の二人は夜の更けるのも忘れて、庭に咲いた花の香りに心を奪われて
何も語らず、春夜を楽しんだ

五合庵乙子草庵時代の良寛さまを詩歌の師としていた阿部は、良寛より二十歳若いが、良寛さんを良く訪ね、心が通いあい、二人で唱和した詩歌も多いという
阿部家にある数多い良寛遺墨の中でもよく知られており、「良寛の里づくり事業」で平成3年(1991年)にこの良寛詩碑が阿部家の門前に建てられている

赤地銀彩良寛詩画像筆筒

こちらも五言絶句‥‥
「東方明月出  楼上正彷徨  思美人不見  涙下沾衣裳  良寛」
その詠みは、
東方に明月出で 楼上 正に彷徨す  美人を思えど見えず  涙下って衣裳を沾す


「美人を思えど見えず 涙下って衣裳を沾す(うるおす)」
‥‥というほど初恋の人・維馨尼(いきょうに)を慕った良寛さま 
場所は良寛が住んでいた五合庵のある国上寺(くがみやま)の阿弥陀堂 
明月の日に、その楼上を彷徨う自らの姿を謳んた‥‥良寛さま
一生思い続けることになる維馨尼と16歳の時に出会った良寛
二人はともに毬つきやおはじきをすることが好きだった
時を経て、維馨尼逝去の知らせを聞いた良寛さんは泣き崩れた
それから数カ月後、傷心を癒すため、良寛さんは東北地方に長い長い旅に出た


◇◆◇◆◇◆


「子供の純真な心こそが誠の仏の心」
と、言われた良寛さま  ある日の夕暮れ、
子供達と隠れん坊をして遊んでいて、良寛さまの隠れる番になり、田んぼにうまく隠れることができた  
見つからないように身を潜めていた 
しかし、日が暮れて暗くなり子供達は探し出せないまま家に帰ってしまった 

翌朝、ちかくの農夫が田んぼに来ると、そこに良寛さまがいたので驚いて問いただすと、
「静かに!そんな大声を出せば、子供達に見つかってしまうではないか」と良寛さまは言った  
子供達と遊ぶことを好んだ良寛さまの懐には、いつも手毬を入れあり、子供たちと無邪気に遊んだ 
そして、かくれんぼや闘草(草ずもう)などをしてよく遊んだという‥‥「七言絶句」二首


良寛詩画像十字街

「十字街頭乞食了 八幡宮邊方徘徊 児童相見相語 去年癡僧今又来」
十字街頭乞食了(じゅうじがいとうこつじきおわり)
八幡宮辺方徘徊(はちまんぐうへんまさにはいかいす)
児童相見共相語(じどうあいみてともにあいかたる)
去年癡僧今又来(きょねんのちそういままたきたると)


この良寛さまの詩は越後三条に詩碑が立てられているほど有名なものだ


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良寛詩 闘草画像筆筒8.4/9.1/H13.3cm

他与児童闢百草 闘去闘来転風流 日暮城頭人帰後 一輪明月凌素秋

他(ま)た児童と百草を闘はす
闘ひ去り闘ひ来りて転(うた)た風流
日莫(にちぼ) 城中人帰りし後
一輪明月 素秋を凌(しの)ぐ


「また 街の中で子供たちと何度も何度も草相撲をした
日が暮れると、子どもたちは皆、家に帰っていった
自分だけが残され、秋の空高くわたっている一輪の円やかな明月だけが、我が友となった」

得意の赤呉須に、燻し銀のごとく鈍く輝いている 

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高台内に「魯山人」と草書の銀彩銘がある


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魯山人 「良寛詩」筆筒 ・ 魯山人 銀彩トビ釉花入 ・ 額:有元利夫「若い音楽家」




魯山人「大雅堂」・「美食倶楽部」発祥の地
 魯卿あん‥‥Rokeian画像定休日:日曜日・祝日

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辻岡正美様 撮影