黒田草臣の BLOG 

アクセスカウンタ

zoom RSS 山本陶秀 ‥‥ 轆轤にかけた陶芸人生

<<   作成日時 : 2017/03/16 17:39   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

明治39年、備前市伊部に生まれた山本陶秀は、燐家の金重利陶苑で職人たちが轆轤で制作するのに憧れ、大正10年に陶芸界に入った。
選んだ修業先は備前で一番大きい窯元だった黄薇堂で、入門した当日に轆轤台に座り、たちまち湯呑を十個、挽きあげたという。
昭和13年、京都の日本芸術院会員・楠部弥弌に師事し、14年には中国四国連合工芸展で優良賞を受賞したのを皮切りに轆轤一筋に精進されて戦中戦後の苦しい時代をのり越えていく。
昭和34年にはブラッセル万国博に出品した緋襷大鉢がグランプリ金賞を受賞するなど内外に認められ陶芸作家として地位を固め、昭和62年には、国の重要無形文化財保持者(人間国宝)となり、永年の苦労が報われた。

山本陶秀画像肩衝茶入

陶秀の繊細なろくろで造る茶入は気品に溢れ、日本伝統工芸展では毎年のように、大物に挟まれて小さな茶入が堂々と出品されていた。

山陽新幹線が岡山まで開通したのは昭和47年3月である。と同時に空前の備前焼ブームの幕開けである。

新幹線の騒音をまともに受けることになる陶秀宅は、防音装置を施した鉄筋コンクリートの自宅と工房に改築することにした。ところが旧宅の跡地には手榴弾が埋まっていた。
戦時中、金属物資が不足して軍の命令により一八軒あったという備前窯元は手榴弾を作らされた。ほとんどの窯元は型で作ったが、轆轤名人といわれる陶秀は灯火管制の元、轆轤で制作した。
改築の際、この手榴弾が全て掘りおこされ、
「備前陶工は兵器を作らされた時代もあった。二度とこんな時代が来ないように」と当時を振り返った。

この頃、私は備前に行く度に陶秀宅へ泊まらせていただいていた。
「わしが台所へ行くときは酒に燗をするときだけ」
と徳利を選んで自ら好みのぬる燗をつける。
奥様の料理を肴に美酒をいただいた。

朝は名人といわれた轆轤姿を見るのも楽しみ、一般には轆轤を挽く際、手に水を付けて滑りを良くするのだが、名人は手先にちょっと濡らすだけ、ぐい呑は左手だけで湯呑より厚めに一気に挽き上げた。

徳利は平たい皿でも作るかのように延ばしてから筒型に挽いて頸をつぼめ、最後に口造りして二分ほどで挽き上げる。こうした独特な轆轤ゆえに、見た目より多く(三合半)入る徳利ができたのだろう。

画像
徳利を轆轤成形する山本陶秀


「そんな、蓋の作り方では貧相でおえん。膨らみのある蓋にせにゃ、宝瓶の摘みは品よくしっかりと作らなァ」
と、名人の優れた技術を息子や弟子に教え込む。長男の雄一は、
「親父は弟子には親切に教えるが、子供には口を出さない」
という雄一は父・陶秀の仕事ぶりを観察して覚えた。
その陶秀の作る茶入は遠州好みの端正さがあった。
ある日、備前作家の図録に載っていた丸壺茶入の写真を見せながら、
「こんな茶入では、おえん。‥‥茶入でなくて豆壺じゃな」と批判していた。

画像
山本陶秀 耳付茶入


昭和50年の日本橋三越での個展は円熟した轆轤捌きによる小さな茶入が、大きな反響を呼び、この年、毎日新聞芸術賞を受賞している。
昭和62年、晴れて国の重要無形文化財(人間国宝)に認定され、平成3年には備前市名誉市民となった。
平成4年9月、山本陶秀「六古窯の旅」という個展を東京、大阪、倉敷で開いている。
備前以外の土を取り寄せ、それぞれの土で壺や茶陶を焼いた。この図録に、
「轆轤を回しながら、一気にひきあげる時、その窯、その土味の違いが指先を通して全身に感じられます。先人の想いが、私の想いが轆轤の上で静かに語り合います。それは作陶するものにとって冥利につきる思いです」
とある。
平成6年、70数年にわたる陶芸生活にピリオドが打たれた。


― 写真は別冊炎芸術「備前」(2017/2/20発行)より ― 



魯山人「大雅堂」・「美食倶楽部」発祥の地
 魯卿あん‥‥Rokeian
〒104-0031 東京都中央区京橋2-9-9    TEL: 03-6228-7704 FAX: 03-6228-7704
営業時間:11:00〜18:00
 Email:rokeian-kuroda@jupiter.ocn.ne.jp
黒田草臣 BLOGこちら
しぶや黒田陶苑のホームページ戻る



画像
画像
辻岡正美様の撮影



月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
山本陶秀 ‥‥ 轆轤にかけた陶芸人生 黒田草臣の BLOG /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる